海色の恋、甘い時間
そしてある朝。

2月の中頃の、寒い日のことだった。
このまま、少しも打ち解けることなく、2年生に上がるのは嫌だな、なんて思ってた。

「おはよう!」

「あ~、うん」

「あ、桃瀬さん」

この日、意地悪を言われなかった。

わたしは嬉しくて、

「ありがとう」

と、笑った。

「別に……」

意地悪な女子達は、何となく気まずそうに視線を反らせたけど、わたしは嫌な感じはしなかった。
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