海色の恋、甘い時間
「うみちゃん?
どうした、の……?」

「ああ、いや……。
なんでも、ないんだ……」

絶対何かあるはずなのに、うみちゃんは言いよどんで、それから黙ってしまった。

「うみちゃん……?
話し、聞くよ?」

「あ、ああ、ありがとう……。
あたし……」

「あ、黄原!」
「よお、黄原」

うみちゃんが何か言いかけたとき、黄原君が、教室に入ってきた。
いつもわたしより早い時間に来ているはずなのに、珍しく遅い。

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