海色の恋、甘い時間
ちょっとだけうみちゃんを独り占め。
腕の中からちらりと黄原君の様子を伺う。

「黄原君、羨ましそうだね。
春休み毎日、ふわふわらしい甘い時間過ごしてたんでしょ?
少しくらい、うみちゃん貸してくれたっていいよね?」

「ちょ……愛ちゃ……」

わっと首まで赤くなったうみちゃんと、頭をかく黄原君。
わたしは腕からすり抜けて、先に行くね、と足早に教室を後にした。

廊下を歩いていると、前に移動中のクラスメイトを見つけた。
わたしは駆け寄って、声をかける。
皆、優しく笑いかけてくれて、それからお喋りをしながら一緒に歩き出した。
去年はうみちゃんにべったりで、こんなこと、なかったなぁ。
< 156 / 160 >

この作品をシェア

pagetop