海色の恋、甘い時間
「桃瀬さん、待たせちゃった?」

10分程携帯をいじりながら待っていると、立花さんがトレイに何やら乗せて来た。
エプロンは外していて、私服姿だ。

「待ってないよ! 
それよりごめんね、仕事中に」

「いいよ、落ち着いてきたし、休憩なの。
はい、桃瀬さんにあげる」

サービスだよ、と、立花さんはパイとホットコーヒーのおかわりをわたしに差し出した。
もうひとつ、ホットコーヒーをテーブルに置いてわたしの前に座る立花さん。

「え、悪いよ、サービスなんて……。
パイ好きだし、お金払うよ?」

「いいの」

「でも……」
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