海色の恋、甘い時間
「実はね、桃瀬さん」

急に顔を近づけて、口の横に手を添える彼女。
これは、内緒話のポーズ?

「お母さんがね、今日のは堂々とお客様に出せないわって、常連さんにあげてるやつなの。
だから、大丈夫。

あ、美味しいよ? 
形が崩れからお金とれないんだって。
あとコーヒーは、さっきうっかり入れすぎたから……ね?」

他のお客さんには内緒だよ?
立花さんはいたずらっ子のように、年齢より下に見える笑顔を浮かべた。
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