我那覇くんの恋と青春物語~横西めぐみ編~
「横西さん」


肩で息をしながら、芝生に座っている彼女の名前を呼んだ。



彼女はこちらを見つめ、微笑み、すぐに寂しそうな表情に戻った。

その表情を何度も見てきて、今までは何も気付かなかった。

だけど、今は自分の胸の痛みがひしひしと伝わってくる。


「明日、卒業だね・・・」


彼女の右手がすぐ傍にあり、ほんの少し左手を動かせば触れることができ、開けば包み込むことができる。



自分の気持ちに気付けたものの、彼女の気持ちはこちらの勘違いかもしれない。



そんな思いが邪魔をして、まるで金縛りにあったみたいだ。


「・・・ねえ」


「・・・」


「卒業前だというのに・・・ごめんね。この高校三年間、キミに助けられてばかりいたのに、最後の最後まで迷惑かけたりして」


「迷惑だなんて・・・よかったら、上手くいかないって言っていたこと、話してくれないかな?」


「それは・・・」
< 29 / 38 >

この作品をシェア

pagetop