我那覇くんの恋と青春物語~横西めぐみ編~
二人の間に沈黙が流れる。



自分の思いだけを伝える、それだけでは駄目だ。

このことを聞かなければいけないのだと、そう思った。


「ねえ・・・一つ聞きたいんだけど」


「何?」


「いや、例え話なんだけどさ・・・その・・・キミなら家族と好きな子を選べって言われたら、どっちが大事かな?」


「えっ?急に・・・」


「いや、だから例えばの話なんだけど・・・どっちを選ぶ?」


家族と好きな子。



今まで天秤にかけたことなどなかったので、この質問に戸惑ってしまう。

その間も彼女は真っ直ぐこちらを見つめ、答えを待っていた。



家族と好きな子、どちらが大事と言われたら・・・


「家族が大事だよ」


「えっ?」


「そりゃ、好きな子も大事だよ。だけど、まずはやっぱり家族・・・自分の家族を大事にできないようじゃ、好きな子を幸せにできないんじゃないかな」


「じゃあ、その家族が反対したら、好きな子を諦めるのかい?」


「んー、諦めない・・・かな。とにかく家族、好きな子、両方が笑顔になれるまで頑張るよ。上手くいかなくても、信じて頑張る」


「・・・そっか」


彼女は前を向き、目を閉じた。

そして、大きく深呼吸をして、こちらを向いた。
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