我那覇くんの恋と青春物語~横西めぐみ編~
「ボクたちが初めて会ったときのこと、キミは覚えているかい?」


「えっ・・・確か、俺が勉強していたら・・・」


あのとき、廊下側の席にいて勉強していたときだ。

急に彼女が廊下から教室の窓に顔だけ出してきて・・・


「そう、キミがボクに勉強を教えてくれた。おかげであのときのテストは自己最高点だったよ」


「それは横西さんが頑張ったからだよ」


「ううん、ボク馬鹿だから本当に助かったよ」


恥ずかしそうに彼女が舌を出して笑い、それを見てこちらも笑い、二人して声を出して笑い合った。


「修学旅行のときもそうさ。クラスに仲の良い子がいないし、エアは『謹慎で自由行動は先生と同伴だから、あたしと一緒に回るのは止めとけ』って言うから困っていると、キミはボクと一緒に自由行動を過ごしてくれたね」


「その前に・・・修学旅行といったら、自由行動の前日のことも忘れられないよね」


「夜中の廊下!」


自由行動の前日。



たまたま夜中に目を覚まし、飲み物を買いに行ったときに彼女と出くわしたのだ。

彼女は寂しそうな表情で、窓から夜空を見上げているところだった。

そこで次の日の自由行動を約束したのだが・・・


「見回りの先生に見つかりそうになって、大慌てでたまたまあった押入れみたいなところに隠れたよね」


「あのときは見つかるかと思って、俺、凄くドキドキしたよ」


それもあるのだが、その押入れは予想以上に狭く、体を密着しないと二人とも入れなかったのだ。

彼女と密着しているうえに顔が間近にあるものだから、そのときは人生で一番の緊張だった。


「ごめんね、抱き合うような相手がボクで。・・・でも、ボクは嬉しかったよ」


「えっ」


最後のほうは上手く聞き取れなかった。

けれども、あのときのことを話す彼女の表情は柔らかく、嫌な思いをさせてなかったと改めて一安心した(実は気にしていたんだよな)。
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