1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「…うわぁ」

 テントを出て、空を見上げた瞬間、満天の星空が目に飛び込んできて、思わず声をあげてしまいました。

 テントから離れて、清流の近くに会った岩に腰かけて空を見上げる。

 街の光も届かない山の中ではこんなにきれいに星が見えるんですね。
 天の川まで見れるなんて予想以上です。携帯のカメラに収められないのがなんとも悔しい…。

 仕方ないので、この光景を目に焼き付けるように空を見上げました。

 無意識に、あの歌詞もない、曲名も知らない子守歌を紡ぐ。

 分からない。
 分からないけど、どこか、安心する。この歌は、大切な歌。

「…ひと、星…きら、きら……ほた、るの…灯が、瞬いて………あな、たの、微笑み…また、たく…星…」

 …。

「…何言ってるんでしょうね。歌詞なんか、ないのに」

 覚えてない。分からない。

 でも、でも、誰かが歌う声をまだ、思い出せる。

 大好きだった。大切だった。

 でも、もう、この声は聴けない気がする。永久に、もう二度と…。
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