１人ぼっちと１匹オオカミ(番外)

「そろそろ戻るか」

「…あ、待って」

　立ち上がろうとしたあきくんの手を掴む。

　嫌だ、離れたくない。まだ一緒にいたい…。

　そう思っている自分に戸惑って、あきくんの手を掴んだままじっと見つめることしかできませんでした。

「…風邪ひくだろ？」

「…分かってます」

「なら、戻るぞ？」

「嫌です！」

「どうした？…嫌な思い、させたのか？」

　不安そうに目じりを下げるあきくんに必死に首を横に振る。あきくんだけ、ドキドキさせるなんてずるいです…。

「…あきくん、私は、あなたと一緒にいたい」

「え？」

「あきくんと一緒にいると、いっぱいドキドキしてます。これが、なんなのか私は、まだわからないけど、でも、あきくんとずっと一緒にいたい。それは、本当だから！」

　今の精いっぱいの言葉。顔は焼けちゃうくらい熱くて、心臓がドキドキいって破裂しちゃうんじゃないかってくらい暴れてる。

　あきくんの手を掴んだ手を、握り返される。