1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)
7.総長としての器 朔夜side
総長の苦悩
「朔夜、決まった?」
「決まってねぇよ。つうか、アイス買いに行くなら俺の分も買ってこいよ!!」
コンビニの袋を持った輝星と凪に、ソファでだれている焔が勢いよく起き上がって抗議の声を上げる。
それを冷たくあしらった輝星はいつもの定位置のソファに腰かける。
「朔夜、いる?」
「いらねぇ」
袋から出してきたのは、ソーダ味が定番の氷アイス。俺が断ったそれは、焔の手に渡った。
いつもと変わらない嵐鬼の幹部室。8月も終盤に差し掛かったが、クーラーもない倉庫は蒸し風呂状態。幹部室の窓も全開になっていた。
「で、朔夜は誰に継がせるの?」
アイスを口にしながらも、輝星なりの真剣さの宿った目が俺を射抜く。
継がせるというのは、時期嵐鬼を担う総長をはじめとした幹部だ。
来年、俺たちは引退する。俺たちの次に嵐鬼を引っ張っていくやつを決めなきゃなんねぇ。
適当には決められない。先代から受け継いできた嵐鬼の名を、途絶えさせるわけにはいかねぇ。
その責任を任せられるやつを選ばなきゃならなかった。