1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

 結局蓬の機嫌はいいまま1日の授業が終わる。

HRが終わってすぐに蓬は立ち上がって、俺の手を掴む。

「あきくん、帰りましょ?」

「まだ片づけてねぇんだけど…」

「あれ?」

「よもちゃん、弁当箱引っかかったままだよ」

「えぇ!?」

 どんだけ焦ってんだよ。

雷斗が先に教室を出てく。それを見送って、俺の準備が整うと蓬に引っ張られて学校を出る。

「蓬、そんな引っ張んな」

「え?引っ張ってますか?」

「…へぇ、そんな気づかないくらい早く2人きりになりたいのか?」

「ッな…ななな!?」

 一瞬で真っ赤に染まった頬に思わず笑ってしまう。

 ほんと、バカみたいにまっすぐだよな。

手を差し伸べれば、今度は恥ずかしそうに重ねてきた。やっと大人しくなってくれたらしい。
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