1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

 蓬の家から俺が借りてるアパートまではそう遠くない。歩いて10分もすれば余裕だ。

 ポストを見れば、また変なチラシが入ってて、その場でくしゃくしゃに丸めといた。

「あら、秋空くんお帰り」

「あ、ただいまです」

 アパートの隣にある一軒家。そこが大家さんの家だ。

 大家さんはおじさんとおばさんで、家がなかなか借りれなくて困ってたところを拾ってくれた優しい人たちだ。

「秋空くん今日誕生日よね?」

「え、覚えてたんですか!?」

「当たり前でしょ~?あ、ちょっと待ってて」

 おばさんはケラケラ笑って一旦家の中に戻っていく。

 当たり前って、そういえば去年も覚えててくれたっけ…。

 少し待って、すぐに出てきたおばさんは2人分くらいのおかずを持ってきてくれた。
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