1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

―ピンポーン

 チャイムが鳴ったのは30分後くらい。

 返事をして玄関に出て、ドアを開けた瞬間、パンッと破裂音がして、目の前に紙テープが飛んでくる。

「…え?」

「えへ?」

 頭に紙テープが乗っかってる。蓬はいたずらっ子な顔で、クラッカーを手に持っていた。

 あぁ、クラッカー鳴らしたのか…。

「びっくりしました?」

「むしろびっくりしない方が変だろ」

「びっくり作戦成功です!」

 嬉しそうに笑う蓬の手にはたぶんお泊りの荷物以外にも紙の箱がある。とりあえず蓬を家に上げる。

「あ、あきくん!どうぞ!」

「…まさかケーキ?」

「正解です!」

 紙の箱の中身はケーキらしい。あぁ、だから先に帰ってろなんて言ったのか。

 …いや、クラッカーか。どう考えてもクラッカー鳴らしたかったんだな。

 笑ってる蓬の頭をくしゃくしゃに撫でる。

 ここまで嬉しそうに誕生日祝ってくれるなんてなかなかないんじゃないか?それくらい蓬は喜んでて、どっちの誕生日なのか分からなくなる。
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