1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

 夏の暑さは相変わらずで、夜になるとその暑さが少し和らいで秋が近くなっているのを少し感じられる。

 そんな時期だった。

 バイト帰りで、当時借りていたボロアパートの1室に戻る途中。

 家から飛び出して、やんちゃ盛りの高校1年。
 バカやってた最盛期にお前を見つけたんだ。

「…子ども?」

 マフラーをいじったバイクのエンジン音は近所迷惑よろしく大音量だ。

 そんなバイクを走らせた前方に小さな影。バイクのライトに照らされたのは、やっぱり小さな子どもだった。2歳か、せいぜい3歳くらいの、女の子。

 こんな派手なバイクが自分の目の前にやってきても、泣くことも、喜ぶこともしないでただ不思議そうな顔で首をかしげている。

「…おい、どうしたんだ」

 そんな問いを気づいたらしていた。女の子は首をかしげるままで何を言われているのかもわかっていないような顔をしていた。

 よく見れば女の子は裸足で、薄いパジャマ1枚着ただけの格好だった。

 迷子、そんな言葉がしっくり当てはまったような状況だ。
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