1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「蓬、帰るぞ~」

「あい!」

 清牙の呼びかけに、蓬はやっぱり飛んでいく。

 いつもと同じように清牙の上着の中に仕舞われて、顔だけ出した蓬はばいばいしようとして手が動かないことに気づくと、少し悩んだ後、ぷるぷる顔を振った。

「蓬、酔うからやめとけ」

「また明日」

「よもぎ、清牙明日な~」

「桃も置いてかれるよ」

 紅葉に背を押されて、自分のバイクのところまで走る。

 バイクを出してくると、蓬はまだ顔を振ってた。

「行くか」

「うん」

「蓬、隠れろ!」

 その号令に合わせて頭もすっぽり上着に隠す。

 蓬もすっかり慣れた技ね。清牙曰く、ちょっと得意げに捕まってるらしい。

 …見てみたいけど、さすがにそんな危ないこととてもできないから、実際には絶対にやらない。

 みんなに手を振って、清牙の借りてるボロアパートまで戻った。
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