1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「桃、ありがとな」

「え、なに急に」

「俺の無茶にお前まで巻き込んだ」

「ちょっと、私が嫌々巻き込まれたみたいじゃないの。私は、自分の意志でよもの母親になろうって決めたんだから」

 それに、ほかの誰にもこんな優しくてかっこいい人、取られたくなかったんだもん。

 それくらい気付け!このどまじめ!

 清牙はそんなことも気づかないで、苦笑してる。

 なんでそんな顔するの?私じゃ、相手として不服だったってこと…?
 それだったらやだ、何私だけ舞い上がってるの?バカみたい…。泣きそ…。

「俺なんかが、幸せになってもいいのかっていつも考えてた」

「…清牙?」

 いつもの強くて、父親になってやると豪語した人には思えないくらい弱々しい顔。

 そんな顔、幼馴染だけど1回も見たことなかった。

「…俺さ、兄貴がいた」

「…いた?」

「兄貴は、俺を守るために親からの暴力全部受けてたんだよ。そのせいで、ご飯もまともに与えられてなくて…。5年前に首つって死んだ」

「ッ!?」
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