1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)
初めて聞いた自分が入社できた本当の理由。
確かに高卒での企業への入社は難しくて、何件も落ちた。
子どもがいるといった時の面接官の顔色は確かに決してよくなかった。落ちた中には無責任なやつを雇わせる気はないって堂々と言われたところもある。
この人が掛け合ってくれなかったら、ここにはいられなかったかもしれない…。
「…ありがとうございます」
「うえ、改めてお礼なんて言うなよ。今日はちゃんと家族サービスしてこい」
照れ隠しのようにしっしっと追い出すように手で払われる。
頭を下げて上司の元を離れると、ようやく上司は仕事モードに戻った。
こんな人だから、上にいることを苦に思わず気づけば連れまわされてるような状況になるんだろうな。
必要な荷物を片付けて、少し早足に職場を出た。