1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)
「…よもが、私たちの子どもになってから11年ね…」
「正確に言えば15年だ」
桃が数えたのは養子縁組を組んでからの年数。俺が言ったのは、蓬を拾ってからの年数だ。
思えばそれだけの月日が経っていたことになる。
「年取るはずだな」
「ちょっとやめてよ。まだ私たち31よ?」
「ぷ~」
桃を真似してか、怒ったような声を出した咲に思わず顔を見合わせて笑う。
よもの成長が早ければ、智希や望亜、咲だって早い。
智希は来年小学生だ。かとおもうとよもも高校3年。
「…そういえば、よもに進路の話聞いたことなかったな」
「先生の評価では、私立大学になら行けるって言ってたわ。公立は無理に行っても本人が苦しむだけだろうって、止めてたけどね」
「…よもが行くと思うか?」
「多分働くって言うわね。あの子なら」
「俺としては、保育士とか合ってるんじゃないかと思うんだけどな」
「あんまり放り込みたくない職場ね。知ってる?お母さん同士のバトル結構すごいのよ」
深刻な顔で訴える桃に、思わず顔をしかめる。
確かに母親同士のバトルによもが巻き込まれるのは避けたい…。