1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「まぁ、本人がどうしたか、探ってみましょ」

「俺たちの前で言うとは思えないけどな」

「あら、言葉だけじゃなくてもいいのよ。大学の資料をさりげなく置いといて見るか見ないかだけでも結構わかるもんよ」

「…あんまりよもを監視するようなことするなよ」

 思わず庇う姿勢に出たが、もう遅いらしい。

 どこの大学がいいかな、なんて言い始めてる時点でもうだめだ。よもが桃の餌に引っかかるのもそう遠くない。

 そうこうしているうちに家について、車を止める。

 荷物をまとめて車から降ろして、桃を先に家に上がらせる。

「ただいま。とも、みあ~」

「おかえり~!」

「ままぁ~」

 家の中に声をかけると、お留守番をやりきった智希と望亜が玄関に飛び出してくる。

 智希は余裕の表情だが、望亜はやっぱりギリギリだったらしい。連れて行った方が良かったかもしれないな…。

 半べその望亜を抱きかかえ、智希は思いっきりほめてやる。

「望亜、お姉ちゃんの誕生日会の準備だぞ」

「やる!」

 その言葉で、望亜も復活した。
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