1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「清牙さん、俺はこれで…」

「何言ってるんだ。これからだろう?」

「でも」

 帰ろうとする秋空くんを呼び止めると、戸惑うような表情になる。

 そんな秋空くんの肩を強引につかむ奴が1人。

「な~に神妙な顔してんだよ少年!さぁ入れ!」

「っ…俊也さん酒臭い…」

「おぉ。秋空も飲むか?」

「遠慮します」

 前に潰されたのを思い出したのか、秋空くんの顔が引きつった。

 なんだかんだで秋空くんも家に上がらせて、遅れてリビングに入ると、智希と望亜を抱きしめて泣いているよもの姿が飛び込んできて、思わず目を疑う。

「ねーね?」

「いたい?」

「ううん。違うの。…嬉しくて泣いてるんだよ」

 そういうよもの手には智希と望亜からの手紙があって、桃と目が合うと、頷かれた。
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