1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)
「よも、泣くのは早いわよ。ほらご飯食べてケーキ食べなきゃ」
「そうよ。ほらほら涙仕舞って」
桃と紅葉に背を叩かれて、よもが顔を上げる。
泣きながらも笑っているよもに、笑いかける。
ご飯を食べて、ケーキを食べて、後はいつものどんちゃん騒ぎ。
その中で笑顔を絶やさないよもの表情に安堵が満ちていく。
俺は、お前を幸せにできたのか?そう、自惚れてもいいのだろうか。
俺がやったことは正しかったと思っていいんだろうか。
「お父さん」
気づいたらよもは隣にいて、今日で1番の笑顔を咲かせる。
「私、お父さんに見つけてもらって幸せだよ。だから、ありがとう。私のお父さんになってくれて」
「ッ…よも」
「えへへ」
欲しい言葉をくれたよもは照れくさそうに笑うから、そっと抱きしめた。
あの時は上着に納まってしまうほど小さかったのに。もう、こんなに大きくなった。