1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)
映画館にはそれほど人はいません。
なぜかというと、今は思いっきり平日の昼間だからで…。
10月24日。私の誕生日なんです。
あきくんはキャンプで約束した通り好きなところに連れて来てくれたというわけです。
学校に出席だけでも取りに行くか悩んだのですが、抜け出しにくくなるというわけで、朝からサボりなのです。
何となくお父さんたちに言えなくて、わざと一度制服を着て家を出て、いつも通り学校に行くと見せかけてあきくんの家に行って、着替えて出てきたと言うわけです。
堂々サボるなんて2年生になってからやってないのでちょっとドキドキします。
「蓬ってホントに期待裏切る天才だよな」
「え?どういうことですかそれ!」
「てっきり恋愛映画だと思ってたから予習してきたのにな」
「…わざわざ予習したんですか」
「そりゃ、見た後キャラクターの名前覚えてなかったら話聞いてやれないだろ?」
あきくんほんとにさらりと言って見せますが…。
そこまで気になさらなくてもいいのです。
完全にあきくんの予想を裏切ってしまったのがなんだか申し訳なくなってきました。