1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)
「蓬さん、今年は結構です」
「え、でも…」
お金を渡そうとしても、神主さんは首を横に振る。
今日は何だか多いですね…。
「お守りは、誰かに願ってもらった上に持つのが1番よいのです。ですから、これは、私から蓬さんへ。あなたの心が、素直になれるように」
「…ありがとうございます」
「はい」
「じゃあ、これください」
「はい、どうぞ」
毎年欠かさず身に着けているお守りをもう1つ。
今度はちゃんとお金を奉納して。
「あきくん、どうぞ」
「え?」
「あきくんのお父さんが見つかるようにです」
「…ありがと」
「はい!」
決まった効力のお守りじゃないから。どんな願いでも、込めて相手に送る。
それが、この神社の決まりなのです。