1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

 何赤くなってるの?

 今まで誰にどんな甘いセリフを吐かれても首をかしげていたのに。いつの間にキミは恋を知ってる女の子になったの…?

 よもちゃんが恋をしてる。

 そう自覚した途端、頭がカッとして、イライラが心を支配する。

 なんで?って思いが先行して、頭の中がぐちゃぐちゃになる。

 なんで?なんで?なんで?

 そんなこと聞かれても困るなんて分かってるのに。それでも、なんで?ってある意味理不尽な思いは止まない。

 なんで秋空なんだよ。

 俺は、ずっとキミを見てきたのに。

 キミは俺を見てくれなかったんだ。友達としてか、俺を…。

『蓬、それいつだ』

『明後日です』

『なら、飯も食べるか。遅くなるってちゃんと清牙さんに言っとけよ』

『はい!』

 幸せそうな顔で笑うよもちゃんに、秋空も最終的には同じような顔で微笑む。

 やっと弁当を食べ始めたけど、味なんか全然しなかった。

 ただ、秋空とよもちゃんと囲んでる机に俺が混じってるが急に場違いな、空気の読めない奴みたいになっていて、そんなことがむなしくなる。
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