1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

『秋空』

『あー?』

『ちょっと話あるんだけど』

『俺はない』

 なんだよそれ。まるで自分だけ余裕みたいに。

 秋空はいつもこんな感じだって冷静な頭は分かってた。

 でも、イライラが止まらなかった俺はそんな態度さえも挑発されてるように感じて、気づいたら手が出てた。

 秋空の胸ぐらを掴んで睨み付けると、ようやく秋空の視線が俺に向く。

『離せよ』

『なら、話聞くのかよ』

『…とにかく離せ。蓬が戻ってくる』

 振り払われるように手が離れる。

 タイミングよく戻ってきたよもちゃんは、教室に入ってきた途端、あれ?と視線を迷わせる。

『どうか、したんですか…?』

『なんでもねぇよ。それより、怒られただろ』

『…ちょっと注意されただけですよ』

 教室に残る不穏な空気を感じたのか、眉を潜めたよもちゃんの気をそらしたのは秋空だった。

 よもちゃんは少し悩んでその話に乗った。
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