1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

 向かい合ったまま時間が静かに流れる。秋空は不審げな目をしたまま、俺を睨んでる。

「…どうなんだよ」

「別に、よもちゃんのことを抜きにしても、お前とは決着つけないとって思ってた」

「は?」

「俺と秋空。どっちが強いか」

 これは本心だった。

 前に校内でケンカが起きたとき。少しだけ秋空とやりあった。

 そのときはなんだかんだ言いながら遊び半分だったと思う。だけど、最初の一発は秋空は本気でかかってきた。

 あのときの鋭い視線を忘れたことなんかなかった。下手すれば朔夜さんと同等…いや、それ以上かもしれない殺気を秋空は隠し持ってる。

 そんな秋空と全力でやりあってみたかった。

「…嘘だろ」

「は?」

「お前は、俺が蓬と関わるまで、俺のこと見向きもしなかった。俺のことなんかに興味も関心もなかったはずだ」

「何が言いたいわけ?」

「嫉妬してんじゃねぇの?蓬がお前に振り向かなかったから」

 秋空の言葉はありえないぐらい心の奥を突き刺して、中に隠してたものを全部引きずり出した。
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