1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「なんだよ。好きだって、ちゃんと言ってる方が偉いのかよ!」

「んなこと知るか。…別に自分の気持ちを無視して、行動するのもありだとは思う。でもな、それは2人の関係の中だけで通用することじゃねぇの?何、お前は俺より先に蓬を想ってた。だから、ほかの奴らはお前が告白するまで、蓬に告白すんなって言ってんのか?」

「そんなこと!」

「言ってなくてもそう思ってるから俺を呼びだしたんだろ!いい加減に逃げんな!お前も本気なら、あいつに好きだって目合わせて言えよ!そういう文句は、俺と同じ土俵に上がってから言え!!」

 その通りだって思った。あまりにも図星過ぎて、何も言い返せない。

 こんなの、まるで女子が自分の気に入った奴に付きまとう邪魔な奴を追い払うために、いじめてるようなもんだ。

 どこかでフラれるかもしれないという恐怖が勝って、秋空に勝負を挑む勇気が出なくて、自分の方が長くよもちゃんとのつながりを持ってることが自分の方がよもちゃんのこと分かってるんだって気になって…。

 全部バカみたいだ。

 本当に、自分の弱みを相手のせいにして、八つ当たりしてるだけだ。
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