１人ぼっちと１匹オオカミ(番外)

「…お前、次の嵐鬼の総長なんだって？」

「…だから？」

「いや、ただ過去最弱になるんじゃねぇの？」

「あ？」

　それとこれとは無関係だろ。

　秋空を睨めば、俺を見てあざ笑うかのように楽しげで、冷ややかな視線を向けられる。

「お前が総長だなんて、嵐鬼、終わったな」

「…秋空、黙れ」

「は？女子に告れない奴が何言ってんだよ」

「秋空」

「…どうせ、お前は自分が可愛いんだ。そんな奴が上に立ったら、下は崩壊する。…お前、今からでも総長辞退すれば？」

「ッ…」

　我慢できなかった。

　恋沙汰でバカにされるのは、さっきの今であんな醜態さらしたんだから許せた。

　でも、朔夜さんが、輝星さんが、焔さんが、凪さんが…よもちゃんが信じて、後を頼むって言ってくれた人たちの思いを否定するような、そんなこと許さない。

　頭の中が真っ白になってただ、目の前の敵を倒すことだけに集中していった。