1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「…蓬?」

 すっかり黙った様子の蓬に声をかけると、視線が合う。少し怒っているような目。

 立ち上がった蓬は学校に視線を向ける。

「よもちゃん…」

「…先生呼んできます」

「ッ!?いい!自分で歩けるから!!」

 慌てて立ち上がって蓬を止めに行く雷斗は、あまりにも必死過ぎて少し笑える。

 蓬は眉をひそめたけど、俺も立ち上がったのを見て思いとどまった。

「…歩いて帰れますか」

「うん。大丈夫だよ」

「…蓬、今日は雷斗に送ってもらえ」

「え!?」

「あきくんは…」

「帰ってすぐ寝る。雷斗、頼んだぞ」

「え、あ、おい!」

 ひらひら手を振って、さっさとその場を離れる。

 あんな恰好じゃ示しつかねぇかもしれねぇけど。でも、せいぜい問い詰められろ。それで、同じところまで上がってこいよ。

 雷斗は俺の意図に気づいたのか、ともろどもろになりながら蓬の隣を歩く。

 2人の邪魔をしないように少し早足で家まで急いだ。
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