1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「シャワーでもいいので洗ってきてください。髪の毛も土まみれですよ」

「…わかった」

 何となく逆らえなくて、適当に着替えをつくろって風呂場に行く。

 シャワーを浴びたはいいが、体中に痣やら擦り傷があって、少し笑える。

 でも、擦り傷はとても石鹸で洗えなくて、泡が触れるだけでも激痛が走って、何とか声をかみ殺した。

 少し疲れて風呂から上がると、制服を手にした蓬が心配そうな目で見つめてくる。

 手に持った制服はすっかりきれいになっていた。

「…それ」

「…お父さんもこういうことあったんですよ」

「そっか」

 土埃をきれいに落とす方法を知ってるらしい。

 蓬は制服をハンガーにかけると、ベッドに座った俺の前に膝立ちになって、手当をはじめた。

 消毒されて、でかい湿布が貼られる。いつかの蓬みたいだ。
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