1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

 顔の手当てが終わると、蓬は服に手を伸ばしかけて止まる。

 思いっきり視線がさまよって、戸惑っているのがわかる。

「…蓬、もういいよ」

「っだ、ダメです…」

「止まってるくせに」

「ッ…」

 みるみるうちに頬が赤く染まっていく。

 そんな顔されたら、こっちまで恥ずかしくなんだろ…。

 仕方なく、容赦なく上に着ていたTシャツを脱ぎ捨てると、蓬が息を飲んだのが分かった。

 それが、恥ずかしさではなく、痣を見てのことだってすぐにわかるくらい蓬の顔は歪んでいた。

 ペタペタと湿布が貼られ、手当は早く終わる。

 ベッドの下で正座してうつむいてしまった蓬は、顔を上げなかった。
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