1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

 1人暮らしになって、こんなことされるなんて思ってなかった。

 でも、純粋にうれしい気持ちが勝って、ぬるいまんまの雑炊に口をつける。

 きっと温めた方がいいのに、そのまま食べ切って、用意されてた薬を飲む。

 うがいだけしてベッドに戻ると、蓬の手を握って、寝顔を眺める。

「…ありがと」

 心配してくれて、傍にいてくれて。ありがと。

 寝ている蓬にそっと伝えて目を閉じる。

 眠気はすぐにやってきて、完全に落ちるまでそう時間はかからなかった。
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