1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)
「手は使っちゃダメなんだぞ!!」
自分でもびっくりするくらい声が出る。
もちろんよもちゃんは飛び上がって、泣きそうな顔をする。そんな顔をされたことに傷ついて、ぼそぼそした声で、ごめんねって言う。
よもちゃんはびくびくしたままだ。
それからも、何回蹴ってもボールは手で止められてしまう。全然楽しくなくて、大騒ぎしてる他の子に混ざりたくなっていく。
「…なんでけるの?」
何の前触れもない質問だった。よもちゃんは心底不思議そうな顔でボールを持ってる。
「サッカー、知らないの?」
「…?」
ぶっきらぼうな質問に首をかしげるよもちゃん。
サッカーのこと知らないんだって、初めてわかって足でボール蹴って相手に渡すんだって教えたら、そこからはちゃんとルールを守ってくれた。
返ってくる方向はちんぷんかんぷんだし、へたくそだったけど、よもちゃんは一生懸命で、なんだか楽しくなってくる。