1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)
「どうぞ、座ってください」
施設長に促されて椅子に座ると、施設長はお茶を出しながらまじまじと見つめてきました。
…そんなに見つめられると照れちゃいます。
「やっぱり、晴野蓬さんなんですね」
「やっぱりと言うことは、察していらっしゃったんですね?」
「えぇ、情報屋さんが来なくなった時と事件の発表が被っていたので。もしかしたらとは思っていましたよ」
「流石ですね。でも、お礼とかそういうのはなしでお願いします。情報屋の時に十分伝わりましたから」
「分かりました。…情報屋さんではなく、蓬さんの姿で会いに来てくれたのは何か、理由がありますか?」
あはは、ほんとに敵わないなぁ…。
流石、何人もの子どものお母さんです。
「…情報屋を、やめます。なのでこれが最後の寄付になります」
ポケットから抜き出した茶封筒。
もう、情報屋としてお金をもらうことはないから。だから、活動に必要だったお金も全部下ろしてきてここに持ってきました。
だから、これがなくなれば完全に私は情報屋ではなくなるわけです。
施設長はそれをじっと見つめていました。