1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

 だから、あきくんに勝手に甘えて、顔を上げる。あきくんには気づかれないうちに。けりをつける。

「蓬?」

「…何でもないです」

 微笑んで、離れる。

 ポケットに入れたままの携帯を取り出して、メールの作成画面を開く。

 さぁ、けじめをつけよう。自分の中のもやもやも消して、文句もいっぱい言って、それでさよならするんだ。捨てられたまんまの蓬に。

『聞きたいことあるから時間ください』

 たったそれだけのメールを送って、あきくんに笑いかける。

 ごめんね。自分の問題を優先して。

 会いたくても会えないあきくんを前に、親に会いたくないなんてもう言えないんです。

 その気持ちに整理をつけて、乗り切るためにもどうしても必要なことだから。

「…なんか悩みでもあんのか?」

「…大丈夫です」

 だから、1人で乗り切って見せる。
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