1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

『…もしも』

「こうちゃん!遥人くん捕まえてください!!」

『え?遥人?』

「お願いします!△△駅の方に向かっています!」

『分かった。朔夜さんたちがそっちの方にいるからついでに回収してもらう』

「すみません…」

『何年の付き合いだと思ってんだ?ま、帰ってきたら聞かせろよ。回収したら連絡入れる』

「お願いします」

 電話を終えるころには遥人くんの姿を完全に見失っていて、その場に立ち止まる。

「…遥人くんが、弟…?」

 似ているとは思ってた。だけど、まさか弟だったなんて…。

 …とりあえず戻るしかありませんよね。

 鳴りだした携帯を取れば、やっぱり父親でした。

『蓬、悪い今日は…』

「いいです。そんな気はしてたので。そっちは任せるので、また後日」

『蓬、お前遥人を知ってたのか?』

「…ねぇ、遥人くんに姉がいるって言ってました?」

『え、それは、母親がずっと言ってたが…』

「そうですか。分かりました。それじゃ」

 携帯を閉じる。

 空を見上げると、雲1つない快晴。青すぎる空が怖くなる。
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