1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

 遥人くんに視線を向けると、戸惑っているのか視線を合わせてくれようとはしませんでした。

「…蓬、とりあえず倉庫行くぞ。雷斗も心配してる」

「はい」

「遥人、後ろ乗りな」

「え、でも…」

「よもは朔夜のバイクじゃないと乗れないのよ。ほら、早く」

 輝星さんのテキパキとした言葉に遥人くんも大人しく従う。

 朔夜さんに乗っけてもらって、嵐鬼の倉庫まで戻る。

「…蓬」

「はい?」

「遥人は、お前の…」

「…私も、今日知りました」

「そうか…」

 走るバイクは風を常に切る。

 朔夜さんはそれっきり口を開こうとはしなくて、黙っていることしかできませんでした。
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