1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「あんたが探してたんじゃねぇの。姉ちゃんのこと」

「…でも」

「でもじゃねぇだろ。俺を巻き込んでまでここに来たのになんで顔合わせねぇんだよ」

「遥人!」

 慌てて名前を呼んで止めると、父親の方がびっくりした顔をしていました。

 遥人は不満そうな顔をしたけれど、それ以上は言わなかった。

 そっと奥の部屋に足を踏み入れる。父親が場所を譲ってくれて、そこに膝をつく。

「…久しぶりって言えばいい?」

「ッ…よもぎ?」

「…そうだよ」

「よもぎ…蓬、っ蓬!!」

 いきなり顔を上げてた母親の顔は驚くほど私とそっくりで、私が歳を取ったらこんな感じかもって思えるくらい似ていた。

 いきなり抱きつかれて固まっていると、泣いているような声が漏れる。

 なんで、あなたが泣いてるの?あなたが捨てたから、私は今まで…。
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