1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「…あきくん」

「どんだけ心配したと思ってんだよ…」

「…ごめんなさい」

 謝ることしか出来なくて、あきくんに抱きしめられても心の奥がひどく冷えていて、涙さえ浮かばない。

「…なぁ、ほんとに離れるのか?」

「もう、決めたことですよ」

「…蓬、本心は違うだろ…」

 真剣な目が私を写す。その強さに、胸の奥が苦しくなる。

 それを無理やり押し込んで、笑う。

「ありがと、あきくん。でも、もう聞かないでください。…弟の前で泣いたらかっこ悪いでしょ?」

「…蓬」

「約束は守ります。だから、安心してください」

「…違う」

「え?」

「…父さんのことで、心配してるわけねぇじゃん…。お前が、1人になろうとしてるから」

「遥人と一緒に行くんですよ?1人じゃ…」

「なら、蓬は遥人ってやつの前で泣けるのかよ!!」

 言葉が詰まる。

 返さなきゃいけないのに、図星をつかれて言葉は消えてしまいました。
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