1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「…分かってんだよ。きついことも、ほんとは離れたくないのも…。なんで、傷つく方ばっか選ぶんだよ」

「…でも、遥人が」

「そんなに責任感じなくていい。あいつにだって、仲間がいるだろ?」

「…でも」

「なんで、頼っちゃダメなんだよ。頼ればいいだろ。大好きな人たちから離れて、辛いだけだろ。清牙さんは…お前の父さんは、頼れないのかよ」

「え?」

 頼れないわけがない。

 だって、高校生で私を娘にするって宣言して、それからずっと大事に育ててくれた人なんです。頼れない人なわけがない。

 でも、今、私のしていることは、そういうこと…なんですか…?

「俺も、頼りないわけ?相談してもらえないほど、俺は弱いのか?」

「ッ違う!あきくんは…」

「なら、頼れよ!!バカな選択するくらい追いつめられる前に泣きついてこいよ!なんで、1番必要な時に来ないんだよ」

 あきくんに心配をかけたくなかった。

 あきくんに、親に会いたくないなんて、言えなった。

 会いたくなかったはずの人がいなくなって、しんどかったなんて、言えなかった。

 あきくんに回した手は震えていて、うまくすがれないのを、倍の力で抱きしめてくれる。
< 350 / 523 >

この作品をシェア

pagetop