1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)
「私は、なんだ?」
不意に耳に飛び込んできた声に肩が揺れる。
恐る恐る顔を上げると、お父さんと、お母さん、お母さんの腕の中で両手を伸ばしてくる咲ちゃんがいて…。
「…え?」
なんで、ここにいるんですか…?
動けない私の頭をお父さんが撫でる。その顔は苦笑が浮かんでいて…。
「…よも」
「な、なんで」
「迎えに来た」
「え?」
「娘が家出したら連れ戻しに来ただけだ」
お父さんは当たり前のように、言って、抱きしめてくれる。
「帰ろう。よも」
「…ッだ、ダメです…」
「ん?」
「だって、遥人が…。私が、守らなきゃ…」
「でもな、よも。俺もお前の父親だから、お前を守らなきゃいけないんだよ」