1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「後輩を引き留めに来たんだよ」

「よも、お前はついでだ。ついで」

「…雷斗くん」

 ここに朔夜さんたちがいないのは、きっと遥人が正式に入るのは雷斗くんたちの代になるから。

 だから、任せたんですよね、朔夜さん…。

「遥人を引き留めたら、よもちゃんもここに残ると思ったしさ。なんだかんだ言いながら、遥人も嵐鬼の一員だからね」

「そうそ。言いパシリ役がいなくなっちまうのも勿体ねぇしなぁ」

「えぇ!?浩介さん酷いですよ!!!」

「ああ?姉貴泣かせる男なんぞ、パシリで充分だろ」

「っぐ!?」

 こうちゃんの言葉に二の次が言えなくなった遥人は、ただ唸っていました。

「ま、遥人のことは心配すんな。中学出るまでは俺んちで面倒見てやる」

「こうちゃん…。で、でもいいの?」

「いいから呼んだんだよ。俺の家もこの辺りだから、中学校変わらなくて済むだろ?」

「…遥人は、本当にいいの?」

「…うん。よく考えたら、向こうで待っててくれる奴いないしさ。こっちにいるほうが、先輩もいるし、姉ちゃんも笑ってられるから。だから、ここで生きてく」

 遥人の目は決意であふれていて、次の瞬間、ニって笑う。
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