1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)
アルバムを遡ると、高校の入学式の写真が出てくる。でも、一緒に写っているのは清牙と桃だけだ。むしろ、遡っていくたびに2人の写真しかない。
「あれ、あのみなさんって高校からなんですか?」
秋空がそのことに気づいて意外そうな顔をする。そういえば、話したことなかったな…。
「嵐鬼できるまでの話、してください!」
「よも、お前知ってるだろ」
「何回聞いても楽しいんです。私がお父さんに拾ってもらった時にはもう嵐鬼も出来てましたし、その前のことは知らないから何回聞いても楽しいです」
そういえばよも、よくせがんできて話したっけ。同じ話を何回も何回も、飽きるってほど話してやったのに。
「ま、秋空くんもいるから思い出話もいいんでじゃない?」
紅葉の一言で、話すのが決まる。となると、まずは俺からか…。
よもと秋空の視線が俺に向く。しょうがねぇから、話すか…。
清牙と出会った時のことからでいいんだよな。目で確認すると、肯定が来たから、やっぱりよもに何回もした話をする。
「高校の入学式だよ。俺が清牙に会ったのは」