1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「なぁ、名前聞いてもいいか?」

「はぁ?」

 まだ入学式も始まってないのにもうお友達作りか。めんどくさかったから適当に返事をしながら顔を向けて、思わず驚いた。

 俺の前にいたのは、噂になってたなんかすごい奴だったから。

 思わず唖然して、徐々に口を閉じる。

「…なんで俺?」

「…つまんなさそうな顔、してっから」

 席が前、というわけではなさそうだ。

 それなら、カバンを置いてるはずだし、第一座って振り返るはず。それなのに、こいつはわざわざ離れた席の俺に話しかけてきた。

 意味分かんねぇな。

「…人に名前を聞く前に、自分が名乗れよ」

「…言われてみればそうだな。俺は、晴野清牙。お前は?」

「…斎王、剣人」

 挑発したつもりだったんだけど、乗ってこねぇ。いや、そもそも挑発されたと思ってないのか?

 なんか掴めねぇ奴だな…。
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