1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「どうした、降参か?」

 ニヤニヤとした笑み。

 誰が降参なんかするか。こいつら全員ぶっ潰して学校の頂点、取ってやる…。

 立ち上がり、とりあえず人数を確認。

 …30人くらいか。タイマンじゃないと決定した時点で、番長が下がって周りの奴らが指を鳴らす。

 とりあえず目の前にいた相手に定めをつけて、拳を握る。駆け出したと同時に周りの奴らも動き出す。

 初めの1人を殴って、2人目を蹴り飛ばしたまではよかった。

 だけど、背後から飛んできた蹴りに何の抵抗もなく膝がつく。もうそこからは袋叩きだ。際限なく振り下ろされる足に身動きが取れなくなる。

 あぁっくそ。卑怯だろこういうの…。

 群れることなんか嫌いだ。いつ裏切られるかなんてわかんねぇんだから。

 誰かに頼るのも嫌いだ。自分が弱いって認めることになるから。

 だから、1人で勝手にケンカして、勝って、負けんのが1番いい。

 それなら、誰も悲しませず、誰も守れないことを悔やまなくていいんだから。
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