1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「よう、晴野、斎王。久しぶりだな」

 やっぱり出てきたのはあの時の番長で、舌打ちする。

 学校で随分静かだと思ったらこれかよ…。

 清牙は静かな顔で番長を見つめている。

「リベンジか?相変わらず卑怯な手だな」

「そんな大口叩けるのも今のうちだ。行け!」

 番長の指示で動き出す奴ら。

 清牙に背を預け、目の前のいる奴らを殴っていく。

 あれ、そういえば今自然に背を預けたよな、俺…。

 なんだよ、誰かに頼るのあんなに嫌だったのに…。

 いいや、今でも嫌だ。だけど、清牙はその境界を踏み込んできやがったのか。つくづく面白い奴だ…。

 背中からの攻撃は一切来ない。当たり前だけど、だけどその分存分に暴れられる。背中は大丈夫だという絶対的な安心感があるから、余裕で戦える。

 気づいたら笑っていて、敵を次々に倒していく。
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