1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)
「ねぇねぇ」
軽い感じで声をかけた1人の声に女の子がこっちを見る。うわぁ、やっぱ美人…。
でも、なんか迷惑そうな顔をしてる。
「名前なんて言うの?」
「…桃」
「桃ちゃん?かわいい名前だね。桃って呼んでいい??」
「別にいいけど?」
なんか嫌な感じ。一切笑わないし、なんか上から視線って感じ?
他の2人も気づいたのか、ちょっと表情が引きつってる。
2人が自己紹介を済ませて、私の番。桃の視線は私を射抜いてくる。
「紅葉って呼んで。よろしくね?」
「よろしく」
ほんとにさっきから笑わない。清牙くんの隣にいた時はあんなに笑ってたのに。
なにこれ。なんか媚びてるの…?
「ねぇ、さっきさ、清牙くんの隣にいたよね?もしかして、彼女とか??」
耐え切れなくなったのかいきなり核心に迫るような質問。
その瞬間、やっぱり桃の視線がきつくなった。うわ、タイミング下手でしょこの子…。
桃は私たちをひと睨みすると、めんどくさそうにため息をつく。