1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「ねぇねぇ」

 軽い感じで声をかけた1人の声に女の子がこっちを見る。うわぁ、やっぱ美人…。

 でも、なんか迷惑そうな顔をしてる。

「名前なんて言うの?」

「…桃」

「桃ちゃん?かわいい名前だね。桃って呼んでいい??」

「別にいいけど?」

 なんか嫌な感じ。一切笑わないし、なんか上から視線って感じ?

 他の2人も気づいたのか、ちょっと表情が引きつってる。

 2人が自己紹介を済ませて、私の番。桃の視線は私を射抜いてくる。

「紅葉って呼んで。よろしくね?」

「よろしく」

 ほんとにさっきから笑わない。清牙くんの隣にいた時はあんなに笑ってたのに。

 なにこれ。なんか媚びてるの…?

「ねぇ、さっきさ、清牙くんの隣にいたよね?もしかして、彼女とか??」

 耐え切れなくなったのかいきなり核心に迫るような質問。

 その瞬間、やっぱり桃の視線がきつくなった。うわ、タイミング下手でしょこの子…。

 桃は私たちをひと睨みすると、めんどくさそうにため息をつく。
< 389 / 523 >

この作品をシェア

pagetop