1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)
「幼馴染だけど?」
「へ、へぇ。あんなかっこいい子が幼なじみなんて羨ましいなぁ」
もう返事も微妙になってきた。
ほんとにこの子演技下手。たぶん自分の感情に素直なんだろうけど。
桃の視線はますます険しくなる。
「はぁ、ほんと、女子ってめんどくさい」
「え?」
桃の口からも本音が出る。多分、この質問をされたことが今までに多いんだろう。
だけど、そんな態度取ったらこれから1年もあるのにヤバくない…?
こっちの心配なんか全然伝わってなくて、桃は急に立ち上がるとクラスの女子たちを見まわす。
多分、さっきの会話からずっと聞かれてるはずだから桃に対する視線はみんなちょっと冷たい。
「はっきり言っとくけど、私清牙から離れる気一切ないから。ずっと好きな人だし。あんたたちに取られる気も全然ない。かかってくるなら、正々堂々やってよね?」
桃は一気に言葉を吐くと、座って外を眺めはじめた。
桃の言葉に教室内は静まり返る。
「…い、いこ」
桃から離れていく。
その日、あっという間にほぼ全員の女子を敵に回した桃は、クラスで孤立してしまった。