1人ぼっちと1匹オオカミ(番外)

「はぁ、ほんとあいつありえないよね~」

「邪魔だっつうの」

 一緒に行動してる2人の最近の会話はこればっかり。もういい加減にやめればいいのにさ。

 ちょっと選んだ人、間違えたかも…。

 入学式から2週間。桃はあれから誰とも打ち解けることはなくて、授業が終わるとすぐに教室を出て行って、昼や帰りは清牙くんと一緒に過ごしているみたい。

 だから、清牙くんに近づきたいと思ってる女子たちは、清牙くんからも断られて全然近づけない。完全に2人きりの世界。

 だから、こうして不満の溜まってる子も多い。

 そろそろなんか動き出しそうなバカも出てきそう。もし、この2人がそのバカに加わったら、私は、どうしよう…。

 正直、清牙くんの気持ちはもう消えた。

 元々一目惚れだ。冷めたら一気に冷める。そして、逆に、日に日に気になっていくのは桃のことだ。

 別に恋愛がじゃなくて、純粋な興味。

 あんなにさばさばした子が今までいなかったから、その人柄に興味がある。

 話してみたい。友達になりたい。

 だけど、今の状況でそんなこと、とりあえず無理だ。

 この2人からも見切られる可能性もあるし、桃にも拒否られる可能性がある。

 そうなったら、私は1人になってしまう。

 そんなの、絶対ヤダ。
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